FermatLittleTheorem

Katabami

Theorem 1 Fermat’s Little theorem
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\(p\) を素数とする。このとき \(p\) と互いに素である自然数 \(n\) に対して、以下の合同式が成り立つ

\[ n^{p-1} \equiv 1 \pmod{p} \]

このことを、\(1\) から \(p-1\) を \(p\) で割った余りを用いて証明する。

Proof

まず、\(n, 2n, \ldots , (p-1)n\) を \(p\) で割った余りがどの 2 つも相異なることを示す。

任意の \(i, j \in \mathbb {N}\ (0 {\lt} i \leq j {\lt} p)\) に対して \(jn - in = (j - i)n\) を \(p\) で割った余りが \(0\) となる必要十分条件を考える。

いま、\(p\) は素数かつ \(n\) と互いに素であり、 \(0 {\lt} j - i {\lt} p\) なので、 \((j - i)n \equiv 0 \pmod{p}\) となる場合は必ず \(i = j\) である。 したがって、\(n, 2n, \ldots , (p-1)n\) を \(p\) で割った余りはすべて異なる。

よって、

\[ n \cdot 2n \cdot \ldots \cdot (p-1)n \equiv 1 \cdot 2 \cdot \ldots \cdot (p-1) \pmod{p} \]

すなわち、

\[ n^{p-1}(p-1)! \equiv (p-1)! \pmod{p} \]

\((p-1)!\) は \(p\) と互いに素であるため、両辺を \((p-1)!\) で割ることで

\[ n^{p-1} \equiv 1 \pmod{p} \]
Theorem 2 Fermat’s Little theorem
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同様の定理を、二項定理による展開を用いた帰納法により証明する。

Proof
\[ 1^p \equiv 1 \pmod{p} \]

は明らかである。ここで、

\[ n^p \equiv n \pmod{p} \]

という仮定のもとで、

\[ (n+1)^p \equiv n+1 \pmod{p} \]

を示す。

\[ (n+1)^p = \sum _{k=0}^p \binom {p}{k} n^k \cdot 1^{p-k} = \sum _{k=1}^{p-1} \binom {p}{k} n^k + n + 1 \]

ここで、\(1 \leq k \leq p-1\) のとき \(\binom {p}{k}\) は \(p\) の倍数であるため、

\[ \sum _{k=1}^{p-1} \binom {p}{k} n^k \equiv 0 \pmod{p} \]

ゆえに、

\[ (n+1)^p \equiv n + 1 \pmod{p} \]

したがって、数学的帰納法により \(n^p \equiv n \pmod{p}\) が成り立つ。

ここで、\(n\) と \(p\) が互いに素であるから、両辺を \(n\) で割って、

\[ n^{p-1} \equiv 1 \pmod{p} \]
Theorem 3

最後に、ラグランジュの定理を用いた証明を行う。

Proof

ラグランジュの定理とは、有限群 \(G\) とその部分群 \(H\) に対して、

(1) \(|G| = (G : H)|H|\)

(2) 任意の \(g \in G\) の位数は \(|G|\) の約数である

という性質が成り立つという定理である。

これを用いてフェルマーの小定理を証明する。

有限体 \(\mathbb {Z}/p\mathbb {Z}\) の乗法群 \((\mathbb {Z}/p\mathbb {Z})^{\times }\) の位数は \(p - 1\) である。

ラグランジュの定理より、\(n \in (\mathbb {Z}/p\mathbb {Z})^{\times }\) の位数を \(d\) とすると、 これは \(p - 1\) の約数なので \(p - 1 = dm\ (m \in {N})\) と書ける。

したがって、

\[ n^{p-1} = n^{dm} = (n^d)^m \equiv 1^m = 1 \pmod{p} \]

である。